導入事例

大手電機メーカーIT部門にて応対要約を自動化するコールセンター特化のSLMを構築

大手電機メーカー IT部門

業界 サービス業, 製造業, 金融業
サービス名 AI Call Center, 法人向けDXソリューション
課題

ご導入前の課題

コールセンター業務の効率化において、対話文字起こしデータの要約自動化が急務となっていました。しかし、社内にはSLM(小規模言語モデル)の選定やチューニング、出力精度の評価手法に関する専門的な知見が不足しており、単独でのプロジェクト推進や実運用への移行が高いハードルとなっていました。
効果

ご導入後の効果

Spark+との共同でのプロジェクト実施により、複数のSLM(Llama, Elyza, Gemma等)の比較検討からファインチューニングまでを実施し、実運用システムの構築を伴走支援いたしました。これにより、従来オペレーターが1件あたり平均10~15分かけていた「通話記録の要約・修正業務」が効率化され、業務プロセスの刷新が実現されました。

SLM知見の提供で、コールセンター効率化のプロジェクトを実運用へ導く


“AIで産業課題解決に挑む”株式会社SparkPlus(スパークプラス、本社:東京都文京区、代表取締役社長:本田純平、以下「Spark+」)は、大手電機メーカーのIT部門と共同で取り組んでいた「コールセンター通話要約に特化したSLM(小規模言語モデル)」の検証・開発を完了し、実運用フェーズへの移行支援を完了いたしました。

SLM知見の提供で、プロジェクトを実運用へ導く

同社が運営するヘルプデスクでは、通話終了後にオペレーターが音声認識データを読み直し、内容を要約・修正してシステムに記録する業務に、1件あたり平均10〜15分もの時間を費やしていました。この事後処理の負荷は大きく、人件費の負担増や業務効率化の妨げとなっていました。

解決策として言語モデルによる自動要約が検討されていましたが、セキュリティやコストの観点から、外部クラウドではなく自社環境で動作する「SLM(小規模言語モデル)」の導入が必須条件でした。しかし、社内にはSLMの選定やファインチューニング、精度評価に関する専門的な知見が不足しており、単独でのプロジェクト推進は困難な状況にありました。

そこで、産業分野でのAI実装に強みを持つSpark+が参画し技術的な伴走支援を行うことで、立ち止まっていたプロジェクトを実運用に向けて大きく前進させました。

「正解のない要約」に対し、統計的アプローチで評価指標を構築

プロジェクトにおける最大の壁は、「どのような要約が良い要約か」評価する効率的かつ効果的な方法でした。 従来の評価指標(ROUGEやBERTScoreなど)は、セマンティックな類似度を見るものであり、現場が求める「意味の正確さ」「日本語の流暢さ」「要約フォーマット」などとは必ずしも相関しないことが、Spark+の行った統計的な分析によって明らかになりました。

そこで本プロジェクトでは、以下の技術的アプローチを実施しました。

  • 【複数モデルの徹底比較とファインチューニング】

「Llama」「Gemma」「Phi」など複数の最新SLMに対し、実際の通話データを用いてファインチューニングを実施。日本語性能などを含む複数の指標のバランスに優れたモデルを選定・調整しました。

  • 【最新技術を応用した評価プロセスの調整】

既存の自動評価指標に加え、LLMに要約の質を評価させる「G-Eval」の手法や、文章の不自然さを検知する「Perplexity」等の指標をプロジェクト用に独自にカスタマイズして導入。従来の機械的な一致率だけでなく、より人間に近い感覚での評価が可能か検証を行い、実運用に向けた評価指針を策定しました。

1件あたり10〜15分の工数を削減、コールセンター業務の抜本的改革へ

厳密な検証プロセスを経て、これまでオペレーターが1件あたり10〜15分を要していた事後処理業務の自動化への道筋が確立され、現在は実運用フェーズへ移行しています。今後はさらなる精度向上により、オペレーターが通話対応そのものに集中できる環境づくりを目指します。

また、本プロジェクトを通じて同社内にはSLM運用のノウハウが蓄積され、今後のさらなるAI活用拡大に向けた土台が形成されました。 Spark+は今後も、同社と共に技術の高度化を進め、コールセンターDXの新たなスタンダード構築を目指します。

代表コメント

株式会社Spark+ 代表取締役CEO 本田純平

「SLMの活用は、セキュリティとコスト効率を両立させる企業のAI戦略において極めて重要ですが、その実用化には高度なチューニング技術と正しい『評価の物差し』が必要です。今回のプロジェクトでは、クライアント企業様と共に徹底的な検証を行い、ROUGE等の既存指標に頼らない現場視点の実践的な評価プロセスを確立できたことが大きな勝因です。大きなコスト削減効果という形でビジネスインパクトを創出できたことを大変嬉しく思います。」

株式会社Spark+ 会社概要

Spark+は東大 松尾研発スタートアップとして、最先端AI技術を活用した特化型DXソリューションを提供しています。特に製造現場特有の非構造データや特殊帳票を扱うAIエージェント技術に強みを持ち、三菱重工業や豊田自動織機、NTNをはじめとする大手メーカーとの協働プロジェクトを推進しています。

  • 代表者:代表取締役CEO 本田純平
  • 所在地:東京都文京区本郷6-25-14 宗文館ビル3F(HONGO EGG内)
  • 設立:2024年2月
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